研究課題/領域番号 |
01651501
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西谷 龍介 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50167566)
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研究分担者 |
粕谷 厚生 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10005986)
黒田 規敬 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40005963)
仁科 雄一郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90005851)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1989年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 黒鉛層間化合物 / 遷移金属カルコゲイド / 層状物質 / インダ-カレ-ション / X線回折 / 軟X線 |
研究概要 |
本研究課題は、種々の黒鉛層間化合物を育成しまたそのX線回折特性を評価し、軟X線領域の結晶分光素子として応用する可能性を探求することを目的とした。軟X線の分光素子として注目されている人工多層膜は、20〜30Å以上の長周期のものは容易に作成可能であるが、それより短周期のものを結晶学的に均一に作成することは困難である。そこで多層膜成長とは異なる観点から、すなわち、熱力学的に安定相として存在する長周期化合物を育成することにより、多層膜成長の困難を回避する試みを行なった。ここでの物質探索において、黒鉛層間化合物(SbCl_5及びMo(Cl_5-GIC、及びK-MoCl_5-GIC)の他に、遷移金属カルコゲナイド層間化合物(Ni-TaS_2、Ni-NbS_2)及び積層型カルコゲナイド化合物(NdS-TaS_2及びSms-TaS_2)を育成した。これらの物質の高分解能X線回折特性(CuKαMoKα、角度分解能1″)の測定により、周期構造、X線反射率、波長分解能等を評価した。黒鉛層間化合物では、長周構造を制御することは容易であったが、回折強度及び結晶性の高いものは現時点では達成されていない。回折強度が低いのは、挿入物質の層内密度が低いことによることが、MoCl_5-GICにさらにカリウムをインタカレ-ションしながら測定したX線回折により明らかになった。結晶性と回折強度を高めるために作成した単結晶Ni-TaS_2及びNi-NbS_2では、これらの点で改良があったが、現在得られた周期は約6Åであり長周期化合物の作成は今後の課題である。他方、Ln層(Ln=Sm、Nd)とTaS_2層が交互に積層した化合物では、格子定数約12Åのものが得られ、回折強度の点でも黒鉛層間化合物より優れていた。以上総合評価すると、黒鉛にHOPGを用いた層間化合物では、単結晶である遷移金属化合物の回折特性より劣っており、今後良質の黒鉛単結晶の育成及びそれを用いた高密度の層間化合物の育成が必要であるといえる。
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