研究概要 |
磁場閉じ込めプラズマ装置におけるプラズマ中不純物のイオンの空間分布の測定のために,新しいX線光学素子を応用した2次元結像型X線分光器の開発研究を行った。2次元結像分光系の基本設計を行い光学系を2結晶型とした。この光学系は入口コリメ-タ-と検出器の位置を固定したまま分光波長が変えられる利点を持つ。次に適用波長範囲を30〜150Åと定め,分光素子として用いる多層膜反射鏡の仕様を決定した。その仕様に従いNi/Cの層対厚さ100Å,20層対の多層膜反射鏡を製作した。又,分光器の検出器として用いる予定のマイクロチャンネルプレ-ト(MCP)の軟X線検出効率の特性を把握するために,シンクロトロン放射光源を用いてMCPのX線検出効率の測定を行った。 多層膜反射鏡のプラズマ分光器としての性能評価のために,簡単な多層膜反射鏡X線分光器を試作し,タンデムミラ-型プラズマ閉じ込め装置ガンマ10に設置し,世界で初めて多層膜反射鏡をプラズマ分光に適用した。その結果,1回のプラズマ放電で十分な信号強度で分光写真が得られることが確認できた。 今後は,効率よく且つ信頼性のある分光ができるように多層膜の層物質の組合わせなどを変えてプラズマに適用した結果を参考にしつつ多層膜反射鏡を最適なものにしていく。さらに今年度設計した2次元結像X線分光器を具体的に製作し,チャンネルプレ-トコリメ-タ-及び多層膜反射鏡と,特性を測定ずみのMCP検出器を組み込んで,プラズマの不純物診断に応用する計画である。
|