パルサ-磁気圏の新しいタイプのモデル(DC回路モデル)を提出した。このモデルでは従来部分的にしか扱われていなかった粒子加速層モデルやパルサ-風モデルを総合的に扱うことができる。このモデルは次のパルサ-の性質をよく説明する;(1)X線・γ線のパルスパワ-が全光度の約1%であること、(2)強いパルサ-風が吹き出すこと、(3)パルサ-の回転速度の低下がパルスの停止(いわゆるパルサ-の死)をもつらすこと。更にパルス周期のいわゆるbreaking indexが3より小さいことや、加速層の高度が周期の増大とともに低くなることなども予期した。 上のモデルで予測される強いパルサ-風(相対論的電磁流体加速)を説明する理論がないという問題に遭遇した。この問題を解決するため、相対論的熱遠心力風の理論を今年度後半で展開した。この理論はブラックホ-ルの回転エネルギ-を解放してシェットを形成する現象にも応用できる。 これまでに明らかになった点は、(1)熱風ではパルサ-風は説明できないこと、(2)従来の放射状磁場モデルで説明がつかなかった強い加速は、2次元的磁場構造の効果を入れることで解決されそうである事。パルサ-風がどうしてそんなに強いのか、パルサ-風は何故、双極流にならないのか、という疑問はtrans-field force balanceを解くことで決定される。 この問題は次年度以後の研究課題である 今年度は上記の主プロジェクトと平行して加速層の構造を調べるプロジェクト(次年度)の準備を行なった。則ち、静電相互作用を解析する粒子コ-ドの開発を行なった。現在までに非相対論的場合について基本テストを終了し正常に動作している。
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