超新星爆発をおこす質量の大きい星は自転していることが知られており、その星が重力崩壊を起こす時点での自転の効果はきわめて重要となる。この研究では最終的には回転の効果によって爆発がどの様な効果を受けるのか、どの様な自転速度を持つ中性子星が生まれるのかを明らかにすることであるが、今年度はその第1目標として、エネルギ-保存、運動量保存、エントロピ-保存をすべて共に満たすプログラムの開発を進めた。先ずプログラムの検定と最初の応用として次の2つの場合について研究を進めた。 (1)自転によって楕円型に変形した星の中の衝撃波の伝播と非等方爆発。 大マゼラン雲の超新星SN1987Aは観測によりその爆発は球対称的ではないことが知られている。又大きな混合がその中で起こっていることがX-線観測、光度曲線の観測から知られている。超新星爆発寸前の星はそのマントルは自転の効果により楕円に変形していることが推測されるが、そこでの衝撃波の伝播を計算し衝撃波が回転軸方向にフォ-カスし両極方向にジェット的に放出されることを明らかにした。又コアの爆発がジェット的である場合についても計算を行いこのジェット的性質は最も外側にある水素層を伝播して表面に達するまで決して消えない。 (2)爆発によって形成された中性子星にガスが引続き降着する場合について計算を行い、ニュ-トリノの放出がこの場合でも数パ-セント程度しか球対称からずれないことを明らかにした。
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