超新星残骸における粒子加速過程に関連して以下の研究を行なった。 1.最も有力な衝撃波による統計加速を取り扱う数値計算コ-ドの開発を行なった。1つはモンテカルロコ-ドであり、もう1つは拡散近似にもとづいた対流拡散方程式の差分法による数値コ-ドである。平均自由行程が大きいときには前者は有効であり、小さいときには後者が有効である。 2.モンテカルロコ-ドを膨張衝撃波の場合に適用し、加速が十分起こるためには平均自由行程がかなり小さいことが必要であり、球状の場合にスペクトル指数が平面の場合より急になる傾向があることなどを見いだした。 3.対流拡散方程式を平面2重衝撃波の場合に解き、単一衝撃波にくらべ、加速時間が短縮されることを見いだした。現在さまざまのパラメ-タにたいする計算結果を整理中である。 4.準相対論的衝撃波によって加速される粒子の最高エネルギ-を評価し、10^<18>eV以上の最高エネルギ-領域の宇宙線の起源としては電波銀河のhot spotsが有力であることを論じた。 5.散乱過程に非弾性的効果を考慮すること、衝撃波の非線形的構造を考慮すること、パルサ-周囲での加速機構の検討については、基本的な問題点の検討を開始した段階である。このうち、電子に対する放射過程を考慮して、超新星残骸の観測と比較検討を行なうことを次年度に予定している。
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