研究課題/領域番号 |
01653505
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
勝沼 信彦 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50035375)
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研究分担者 |
木戸 博 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (50144978)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1989年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | HIV-1 / CD4レセプタ- / gp120 / トリプタ-ゼTL2 / トリプタ-ゼM / トリプスタチン / AIDS |
研究概要 |
HIV-1は人ヘルパ-T細胞膜上のCD4レセプタ-を特異的に認識して結合し、細胞内に侵入することが感染の第一段階であると考えられていたが、最近の研究によりCD4レセプタ-だけではHIV-1の細胞内侵入は不可能で、感染は成立しないことが明らかとなってきている。我々はHIV-1の外膜蛋白gp120のβ-epitope部、-GPCRAF-の一次構造を認識して結合する。CD4レセプタ-とは全く別の結合蛋白を人ヘルパ-T細胞膜上に見出し、精製することを成功した。この蛋白は、分子量18万のトリプシン型の蛋白分解酵素でトリプタ-ゼTL2と銘名された。しかもgp120はβ-epitope部を介して本酵素の阻害剤として働き、本酵素の活性中心に結合すると思われる。従って大量の合成β-epitopeやTryptase TL2に対して阻害活性を持つ阻害剤の中で、その活性中心に-GPCRAF-と類似の構造を持つトリプスタチンやHI-30といった蛋白分解酵素阻害剤はgp120とTryptase TL2の結合を強く阻害し、強いHIV-1の感染阻止能を示した。Tryptase TL2は肥満細胞顆粒に局在するTryptase Mと免疫学的に交叉し、この抗Tryptase M抗体もHIV-1の感染を阻止した。このようにTryptase TL2の活性阻害剤と抗Tryptase M抗体が強い抗HIV活性を示すことから、人ヘルパ-T細胞膜上のTryptase TL2がHIV-1の感染機序の初期のステップに深くかかわっていることが推定される。このことは、Tryptase TL2と結合するgp120のβ-epitope部位に対する抗体が、強い抗HIV活性を持つことからも強く示唆される。以上の発見を基に、HIV-1の感染機序の初期のステップにTryptase TL2とCD4-レセプタ-がそれぞれどのように関与しているかを明確にし、HIV-1感染の初期ステップの機構を明らかにして、有効な抗AIDS治療薬の開発を試みている。
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