研究課題/領域番号 |
01654506
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八杉 貞雄 東京大学, 理学部, 助教授 (70011591)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1989年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 上皮-間充織相互作用 / 誘導因子 / ペプシノゲン遺伝子 / 中間径フィラメント / 単クロ-ン抗体 |
研究概要 |
本研究の目的は、ニワトリ胚の消化器官をモデル系として、器官成形時の形態形成と分化のフレキシビリティ-を調節する間充織因子についてその性質を明らかにすることである。従来の研究から、ニワトリ胚前胃および砂嚢の間充織はそれぞれ部域特異的誘導能力を有し、消化管上皮の分化はこのような誘導能と上皮の反応性の組み合わせで決定されることが明らかになっていた。本重点研究ではこれらの基礎的知識に基づいて、以下の研究がなされた。 1.食道、前胃、砂嚢上皮を前胃間充織と共に培養すると前胃上皮のマ-カ-であるペプシノゲン産生が誘導されるが、このとき上皮細胞は上皮細胞の中間径フィラメントの一つであるサイトケラチンのうち、PKK1抗体と反応する成分(PKK1抗原)を特異的に失う。すなわち、前胃間充織はペプシノゲン産生とPKK1抗原抑制を同時に誘導するわけで、このことは間充織の誘導作用を調べる上で極めて興味ある知見である。 2.前胃と砂嚢の間充織の誘導能の差異を分子的に明らかにするために、両間充織を区別しうる単クロ-ン抗体GM1を得た。この抗原は前胃間充織にはわずかしか存在しないが、砂嚢間充織には上皮直下の数細胞層にわたって多量に存在し、かつGM1抗体は前胃、砂嚢の分化を培養条件下で阻害する。今後GM1抗原の性質を明らかにすることは、間充織誘導因子の本性を知る上で有用であると考えられる。 3.腸上皮は発生の極めて初期から、ペプシノゲン発現能を失っていることが明らかになった。今後腸上皮細胞のペプシノゲン遺伝子発現抑制機構の解明から、間充織因子の探索へと進む道が開けた。 4.前胃間充織による誘導作用には、上皮細胞との直接接触が不可欠であることが示された。この事実は誘導現象に細胞外物質が関与している可能性を示唆しており、今後の解析に重要な手掛かりを与える。
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