研究課題/領域番号 |
01657001
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神谷 律 名古屋大学, 理学部, 助手 (10124314)
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研究分担者 |
豊島 陽子 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (40012520)
茶圓 茂 帝京大学, 医学部, 講師 (60142452)
真行寺 千佳子 東京大学, 理学部, 助手 (80125997)
上村 慎治 東京大学, 教養学部, 助手 (90177585)
今栄 康雄 名古屋大学, 理学部, 助教授 (70022712)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
1989年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
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キーワード | 生体運動 / 細菌鞭毛 / 鞭毛 / アクチン / 微少管 / ミオシン / 揺らぎ |
研究概要 |
本研究は生体運動の共通原理を探るという立場から、細菌鞭毛、真核細胞鞭毛、原形質流動など筋肉以外の生体運動の機構を追及した。方法として、運動に関与した構造一つづつの動態を直視することを重視した。豊島は単離した骨格筋の太い繊維上をアクチン繊維が滑走するという試験管内運動系を開発し、アクチン繊維が双極性のミオシン繊維のどちらの半分とでも相互作用して滑ることができるという現象を観察した。これはアクチンとミオシンの相互作用にはこれまでの想像を超えた自由度があることを意味している。今栄は細菌鞭毛モーターの共有結果性阻害剤を開発し、その存在下で1個のモーターの挙動を追跡したところ、回転運動が段階的に阻害されていくことを見いだした。運動に関与したイオンチヤンネル1つづつが阻害されていく過程を捉えたものと考えられる。真行寺は真核生物の鞭毛に外力を加えてその応答を見る研究を行った。その結果、鞭毛の打つ面を人為的に回転させることができることを発見した。微小管滑り運動の調節という観点からきわめて興味深い現象である。上村は空間精度1nm、時間分解能1msecで運動を検出できる装置を開発し、上村と神谷はそれによって鞭毛軸糸内の微小な構造の揺らぎを検出する試みを行った。その結果、一見運動を停止している軸糸が、ATP存在下で、振幅1nm、周期300Hzという高速微小振動を行う現象を発見した。その振動数は個々のダイニンの動きを反映している可能性がある。今後、この現象の意味が明らかになれば、運動の分子機構の解明に大いに役立つ実験系になるであろう。この方法をアクチンーミオシン系など他の生体運動系に適用し、微少な運動の揺らぎをさまざまな条件下で検出/解析することにより、化学ー力学変換過程に関する新情報が得られる可能性がある。現在そのような試みが茶圓によって準備されている。来年度からの成果が待たれる。
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