研究分担者 |
佐藤 久美子 群馬大学, 医療技術短期大学部, 教授 (80008268)
中里 洋一 群馬大学, 医学部・第一病理, 講師 (10106908)
東海林 幹夫 群馬大学, 医学部・神経内科, 医員
平井 俊策 群馬大学, 医学部・神経内科, 教授 (50010153)
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研究概要 |
アルツハイマ-型痴呆脳におけるアミロイド沈着に関与する細胞を同定することにより,試験管内での実験系を確立し,アミロイド沈着を防ぐ方法を究明することが可能となる。このために,アミロイド沈着の最初期像を捉え,これを分析することが不可欠であると考え,び慢性老人斑の超微形態を観察し,アミロイド沈着に関与する細胞を同定した。 通常の電顕観察では見い出せない瀰慢性老人斑の電顕像を,厚切りエポン切片のβ蛋白陽性部位を隣接の超薄切片で観察して明らかにした。び慢性老人斑内には少量のアミロイド線維が散在しているのみで,正常な構造の様にみえるが,強拡大ではアミロイド線維は洗明な細胞突起に囲まれていた。この突起はしばしばgap junctionを形成し,glia線維を有し星形グリア由来と同定されるものもあった。このび慢性老人斑の中に出現する毛細血管はアミロイドを有しておらず,び慢性老人斑のアミロイド形成は血管ではなく,星形グリアと関連していると考えられた。 そこで,パラフォルムアルデヒド固定の切片でGFAP染色,HLA-DR染色を行い,老人斑とグリアの関係を検索するとび慢性老人斑の多くは星形グリアのマ-カ-であるGFAPに陽性であった。 脳アミロイドはアミロイドβ蛋白前駆体から作られるが,今回の研究でこの前駆体のいくつかの部分に対応する合成ペプチドを用いて抗体を作製し,この前駆体と老人斑の関係も検討した。すると前駆体は正常老人では主に神経細胞に局在するが,老人斑を有する脳では,老人斑の腹大神経突起と星形グリアに局在していた。 以上の結果からアルツハイマ-型痴呆脳におけるアミロイド沈着が,星形グリアと大きくかかわっていることを明らかにした。
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