研究課題/領域番号 |
01658507
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成宮 周 京都大学, 医学部, 助教授 (70144350)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1989年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 脳 / 神経細胞 / ADPリボシル化 / GTP結合蛋白質 / rasがん遺伝子 / rho遺伝子 / ボツリヌス / 分化 |
研究概要 |
Gbは脳神経組織に豊富に存在する低分子量GTP結合蛋白質の一つでボツリヌス菌由来の酵素によって特異的にADPリボシル化を受けることからGb(b=ボツリヌス)と名付けられたものである。本年度は、神経系でのこの蛋白の機能を明らかにするため以下の研究を行った。 1.Gb蛋白のcDNAクロ-ニングとADPリボシル化部位の決定 精製Gbの部分アミノ酸配列をもとにGbのcDNAクロ-ニングを行った。その結果この蛋白は193個のアミノ酸より成る分子量21,770の蛋白で、その配列を解析した結果からrasがん遺伝子の類似遺伝子であるrhoの産物であることがわかった。また、〔^<32>p〕ADPリボシル化した精製Gbの解析結果とcDNAクロ-ニングの結果から、ボツリヌス酵素によるADPリボシル化が蛋白のアミノ末端から41番目に位置するアスパラギン残基に起こることが明らかとなった。この場所は、これらGIP結合蛋白の情報伝達に関わるところであった。 2.ボツリヌスADPリボシル化酵素の同定とこれを用いたGb蛋白の神経細胞における機能の解析 C型ボツリヌス菌はC_1、C_2の両毒素とC_3酵素を産生するが、C_1とC_3はGbに対する同様のADPリボシル化活性を有することから両者の異同が問題となっていた。このため、両者の各々に対する抗体を開発し、これらを用いて検討した結果、C_1毒素中の酵素活性は標本中のC_3様蛋白に由来することが明らかとなった。そこで、精製C_3酵素をPC-12細胞に加えることによりGb蛋白の神経細胞における機能を解析した。この結果、C_3添加により、神経突起の伸展、アセチルコリンエステラ-ゼの誘導などが起こり、これが細胞内におけるGb蛋白の修飾に並行することが明らかとなった。以上の結果は、Gb蛋白(=rho遺伝子産物)が何らかの形で神経細胞の形態や分化の発現に関与することを示すものと思える。
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