研究課題/領域番号 |
01658514
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
谷口 隆之 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (10111957)
|
研究分担者 |
福永 玲子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (50189966)
亀山 正邦 住友病院, 院長 (30101231)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | アルツハイマ-型痴呆脳 / グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / ^3H-glutamate結合部位 / ^3H-TCP結合部位 / 前頭葉 |
研究概要 |
神経伝達物質受容体は神経間の情報伝達に重要な働きをしており、その受容体の解析はアルツハイマ-型痴呆の病態生理を考える上で重要な問題である。グルタミン酸は中枢神経系の興奮性伝達物質であり、その受容体はキスカル酸受容体、カイニン酸受容体、NMDA受容体の3種類のサブタイプに区別できる。特にNMDA受容体は、学習記憶の生理的な基礎となる機構として、また数々の病的状態下での神経細胞死との関係で注目を集めている。私たちは、アルツハイマ-型痴呆剖検脳の十分洗浄した膜標品を用いて3H-glutamate結合について検討するとともに、NMDA受容体に結合すると考えられている3H-TCPを用いてその結合能を検討した。 対照群は10例(年齢70-86才、男6例、女4例)で、すべて肉眼的異常は認められなかった。アルツハイマ-型痴呆群は8例(年齢73-91才、男2例、女6例)で、臨床症状ならびに神経病理学的所見より本症と診断されている。年齢、死後剖検までの時間について、対照群との間に有意な差は認められなかった。検索部位は前頭葉とした。 アルツハイマ-型痴呆前頭葉で3H-TCP結合部位の減少が認められ、親和性に変化はなく、最大結合量が有意に減少していた。3H-TCP結合部位とNMDA感受性3H-glutamate結合部位の間に正の相関が認められたことより、アルツハイは-型痴呆脳でのNMDA受容体-イオンチャンネル複合体の主変化は、その数の減少であることが示唆された。 今回の結果は、アルツハイマ-型痴呆前頭葉におけるNMDA受容体-イオンチャンネル複合体変化の特異性を強く示唆し、アルツハイマ-型痴呆の病態生理への興奮性アミノ酸受容体の関与を示唆した。
|