研究課題/領域番号 |
01659504
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
神野 耕太郎 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40025630)
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研究分担者 |
小室 仁 東京歯科医科大学, 医学部, 助手 (40195863)
酒井 哲郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40153845)
廣田 秋彦 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50156717)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 膜電位感受性色素 / 光学的測定 / メロシアニンロ-ダニン / 初期胚 / 脳幹 / 迷走神経 / シナプス |
研究概要 |
個体発生の初期過程における中枢神経系のシナプス伝達系の形成過程の追跡は中枢神経系の基本的機構を解析するうえで重要な戦略となる得る。そこで、われわれは、膜電位感受性色素を用いたニュ-ロン活動の光学的超多チャネル同的記録法を用いて、従来の電気生理学的手法による測定が困難であった発生初期の脳幹のシナプス活動の光学的測定を行い、それを記録することに成功した。 メロシアニン・ロ-ダニン系膜電位感受性色素NK2761をポテンシャル・プロ-ブとして用い、ふ卵8日の鶏胚脳幹で迷走神経線維の電気刺激によって誘発されるニュ-ロン応答を色素の吸光シグナルとして128ケ所から同時記録した。さらに記録部位を移動することにより、脳幹内の最高1000ケ所以上から光学的シグナルを記録し、そのマッピングをおこなった。記録された光学的シグナルは二相性を示し、刺激電流パルスから数msec以内に立ち上がるスパイク状の時間経過の速いシグナルと、それに続いて1秒以上持続する時間経過の遅いシグナルが記録された。この二種のシグナルはともに膜電位変化にともなう色素特有の波長依存性を示すが、遅いシグナルは連続刺激に対して徐々に減衰する特徴があり、低Ca^<2+>液やCd^2やMn^<2+>を含む液中で遅いシグナルのみが選択的に抑制されることなどから、速いシグナルは刺激によって直接誘発されたニュ-ロンの活動電位に対応し、遅いシグナルは刺激で興奮したニュ-ロンからシナプスを介して伝達された興奮性シナプス電位(EPSP)であることが明らかになった。そのEPSPの伝達物質は各種のブロッカ-を用いた薬理学的検索でグルタミン酸であることが同定された。 さらにEPSPの発現する部位は脳幹の刺激側のやや外側、横断面でみると背側面近くに限局しており、この部分に孤束核に対応すると考えられる感覚性の神経核が機能的に形成されつつあることが明らかにされた。
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