研究概要 |
超音波リニアモ-タを,(A)高強度圧電セラミックスの製造,(B)大電圧駆動下の圧電振動子のインピ-ダンス測定,(C)弾性体振動子の設計と超音波リニアモ-タの試作の3点に着目して開発した。 (A)超音波アクチュエ-タ用の駆動源として圧電セラミックスが使用されるが,この用途に使用される場合は,圧電セラミックスに大きな機械的な負荷が加えられる。セラミックスの機械的特性を向上させる目的でHIP焼成とセラミックス繊維による複合化を試みた。曲げ強度をそれぞれ30%,10%向上されることができた。 (B)超音波モ-タにおいては,圧電セラミック素子に大きな交番電界が印加されて駆動される。圧電振動子の大電圧駆動下におけるインピ-ダンス測定系を完成し,それを使用して数種の圧電材料について測定を試みた。通常のインピ-ダンスアナライザでの測定値と比較して,高電圧サ-ボアナライザで測定した場合には,電合機械結合係数kは著しく増大し,一方機械的性能指数Qは減少することがわかった。 (C)2本足と2本の積層圧電体をもった兀字状超音波リニアモ-タを提案した。理論的に2本足とも同じ回転方向の楕円軌跡になることを明らかにし,また内部機械損失を考慮した有限要素法により楕円軌跡の数値解析も行なった。実際に超音波リニアモ-タの試作を行ない,レ-ザドップラ法により2本足の振動を測定し,両足の同方向の楕円運動を確認した。高さ18mm,幅36mm,厚さ5mmのアクチュエ-タで,駆動周波数90kHz,推力400gf,速度20cm/sec程度のものが試作され,安定性も良好であることがわかった。
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