| 研究概要 |
本研究では,広領域スペクトル法を用いる高温表面の温度・性状のインプロセス計測法の開発のために,つぎの一連の研究を行った: 1.高速スペクトル計測装置の改良:波長連続可変フィルタ-を用いて高速スペクトル計測装置の波長域の広領域化(波長:0.35〜14.5μm)をはかった。 2.高温表面の性状の推移にともなうスペクトル挙動の研究:高温大気酸化過程にある耐熱鋼と超合金の反射スペクトルの過渡挙動を広領域高速スペクトル法により調べ、広範な金属材料においてふく射の干渉・回折現象が規則的かつ再現性よく生起することを明らかにした。 3.温度ヒステリシスを示す高温金属の温度測定:高温のパラジウムの近赤外スペクトルの過渡挙動を調べ,表面の酸化・解離反応のためにスペクトルには明瞭な温度ヒステリシスが現れることを見出した。 4.反射光学系の開発:実在表面の拡散反射性質を測定する回転楕円体面鏡式の垂直入射半球反射率測定装置を考案・試作した。この装置は,吸収率スペクトルを1回の走査で求める。この装置を応用し,金属の機械研摩面の可視・近赤外反射の波長・角度特性を系統的に調べた。 5.あらい金属表面とその反射質のモデル化:実在表面のふく射性質を特徴づける表面の微視形状と被膜の効果をとり扱うために,あらい金属表面を自己相似構造をもちながら配列される離散要素のフラクタル的な集合として表す3次元モデルを提案し,そこでの電磁波の干渉・回折挙動を調べた。 6.金属実在表面のふく射性質推移の理論研究:研究5.のモデルに3次元非平行薄膜要素モデルを結合し,実在表面の反射性質の推移を記述する手法を提案した。その結果,実験で見出された反射スペクトルの規則的かつ一般的な過渡現象を計算機上で再現することが可能になった。
|
