研究概要 |
ミッシュメタルー鉄ーボロン急冷磁石の異方性化を図るため,希土類としてNdを使用し,急冷速度を制御することにより磁化容易軸の配向化を検討した。その結果を踏まえて,ミッシュメタル系急冷磁石の異方性化を試み,プラスチック磁石を作製した。その結果,以下の諸点が明らかになった。 (1)急冷時の溶湯の温度を制御すると,急冷薄帯の自由面,ロ-ル面で同時に磁化容易軸の垂直配向が得られるが,中間層では配向度が劣化する。配向層の厚みは,自由面で15μm程度,ロ-ル面で5μm程度である。薄帯上下面で磁化容易軸の配向が得られることから,配向は,溶湯急冷凝固時の熱流の方向に起因するものだと推測される。薄帯中間層での配向の劣化は薄帯長手方向への熱流が生じるためだと考えられる。中間層を取り除いた磁化容易軸配向膜を得るためには,厚み20μm以下の極薄薄帯を作成する必要がある。 (2)薄帯上下面での配向の進行と共に結晶粒が粗大化する傾向がみられた。硬質磁気特性の向上のためには,磁化容易の配向と共に,結晶粒を微細化する必要がある。この為には凝固急冷時に結晶成長を抑制する為の添加が必要である。Ta,Zrは結晶成長を抑制するのに効果的であることがわかった。 (3)MMーFeーB正方晶相のA/Cの軸比が小さいため,NdーFeーBに比較して磁化容易軸は配向しにくい。配向化のためにはA/C軸比を拡大する添加添が必要である。Al,Gaは,正方晶り軸比を拡大すし,磁化容易軸の配向を促進する。
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