研究分担者 |
池田 弘之 (株)富士通, 情報機器事業部, 部長
諸角 建 拓殖大学, 工学部, 助手 (50200465)
尾川 浩一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00158817)
油田 信一 筑波大学, 電子情報工学系, 助教授 (00092502)
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研究概要 |
本研究の目的は、臨床医学の分野で広く用いられているコンピュ-タ断層映像法(CT手法)を電磁誘導による磁界計測法に適用することによって,磁界の空間的分布を任意断面におい映像化するためのシステム開発することである. 初年度(平成元年度)は,開発システムの仕様決定のための基礎実験と検討を行い,その仕様に従づてシステムを製作した.本システムは,永久磁石や比較的大きめの磁気デバイスから漏れる磁界の映像化を目指すものとし,磁界再構成領域を10cm程度,空間分解能を0.5mmに設定した. これに引き続き,次年度(平成2年度)は開公した磁界映像化システムを用いて実験を行い,その有効性を確認した.まず,永久磁石の形成する磁束密度分布および磁気ポテンシャルの映像化を行った。この映像化を行うために必要な投影デ-タの収集時間は約2分であり,分布の再構成に必要な計算時間は,約20分であった(16ビットパ-ソナルコンピュ-タ使用時).なお,この再構成画像の分解能は0.5mmであるが,この分解能を2mmと粗く設定した場合には,デ-タ収集から分布の再構成まで約3分で行うことが出来た.次に,本システムにより得られた磁束密度分布の再構成画像の定量的な精度を実験的に確認した.従来からの磁界測定装置であるガウスメ-タ-(ホ-ル素子使用)による測定値とコ本システムにより得られた結果とを比較したところ,両者はほぼ一致しており,その違いは最大10%程度のものであった。 上記の実験結果から,本システムが十分実用化への可能性を持つものであることが確認された.本システムが実用化される為に解決されなければならない問題点としては,本手法が360度からの投影デ-タを必要とするために,物体で囲まれた空間に分布する磁界の再構成が不可能であることや,再構成領域を越えて広く分布するような磁界に適用できないことが挙げられ,今後の研究により解決していきたいと考えている.
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