研究概要 |
平成元年度には,小水槽内の一様流体中に揚水塔を設置しその中を通過する気泡弾についての実験と解析を行った.次に,密度成層の存在する中で揚水塔を設置し,単一および周期的に気泡弾を放出させて,気泡弾と流体の運動を調べた.さらに,周囲の密度分布の変化を測定した.その後で,揚水塔本体に関する研究と揚水塔を様々な場合に応用する際に生じてくる問題について検討を行った。 平成2年度には,まず,大規模水槽中に温度による成層を作成し,その中に揚水塔を設置して気泡弾を間欠的に発生させ周囲の成層の温度分布の時間変化を調べた.次に,揚水塔を設置しないで水底から直接散気管で気泡を発生させ,揚水塔のある場合との比較を行った.また,本方式で効率をあげる際の鍵となる下降するプル-ムの周囲水の連行率の実験を行った.次に,これらの結果を元に,成層流中で揚水塔による揚水を行った場合と散気式で揚水を行った場合の両方について,周囲の密度分布の時間変化を求めるモデルを作成し,それを用いて室内実験の結果を解析すると共に,実際の貯水池での実験のデ-タを整理し,解析を行った。計算結果はほぼ実験結果を再現するものであった.それと同時に,本方法でより高い揚水効率をあげるための細部の実験および考察を行った.その結果、揚水効率をあげるために必要な揚水塔の放出口と水面との間の距離と空気量との関係等の結果を得た.以上の結果,揚水効率をあげる方法,成層状態の制御に用いる際の予測等が可能となった. 次に,散気式と揚水塔式の揚水効率の比較を行い一般的に水深が深ければ散気式が,浅ければ揚水塔式が有利になるなどの結果を得た. 最後に、この方法を貯水池の富栄養化防止に利用しようとした場合について,プランクトンの増殖を防止するための光制御方法(有光層より下に水を移動させるに要する時間の制御)等の解析を行った.
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