研究概要 |
本研究は高温高圧簡易発生装置の試作とその装置を従来大阪大学に設置してある立方体アンビル型の超高圧発生装置との併用により0〜3GPaの領域の高温度における金属組織学的研究を行うことにある。 比較的簡易な高圧発生装置としてはダイヤモンドの合成に用いられているベルト装置が基本である。本研究ではベルト装置を模して単純な形の圧縮面と45度の斜面を有する円錐台形のアンビルを上下に用い、シリンダ-部は円錐台形のアンビルを受けることのできるシリンダ-上下が円錐台形に加工され、円筒平行部がシリンダ-全長(板厚)の1/2になるように作った。加熱は、内熱方式で試料(4mmΦx5mml)をBN(窒化ボロン)でlmm厚に包み(BNの外寸法は6mmΦx7mml)、その外側に外径8mmΦ内径6mmΦx16mmlの黒鉛を内径8mmΦ外径20mmΦのパイロフェライトの円柱の中に置き、上下のアンビルで所定の圧力を加えた後に黒鉛に通電して加熱する。BNは潤滑剤、パイロフェライトは圧力媒体を封入のためのガスケットの役をする。かかる方法で1.2GPa,1000Kまでの高温高圧を得ている。 行った研究は、Alー(AlーZn)の拡散対で反応拡散を行わせ、相境界濃度からAlーZn系のAl側の高圧状態図を作成した。α相に対するZnの溶解度は高圧で低下し、共晶点は高温にずれ、固相線は高温度・高Zn濃度側にずれることを定量的に明らかにした。 CuーIn系の高圧力下での不連続折出は圧力によって抑えられることを明らかにし、その抑制効果は折出物の先進粒界の厚さの圧力による減少と粒界拡散係数の圧力による減少によることを明らかにした。 その他反応拡散による相境界濃度を高圧力下でAlーMn,AlーTi,FeーTi,TiーCr,AlーGe,CoーCr,TiーNiについて測定し、これら2元系合金の高圧状態図を作成している。
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