研究概要 |
平成元年度の研究では低温割れを支配している因子を解明するためにインプラント試験とTRC試験を行った。その結果,応力が低温割れを支配している重要なパラメ-タであることが明らかになった。次に,実物の割れ試験を模擬した鉄所割れ試験の実験を行い,実験結果を整理したが,はインプラント試験及びTRC試験で有効であった応力で整理できなかった。この原因は実験前から予想していた相変態による応力の変化と考えられる。相変態のために割れ発生部の応力が精度良く予測できなかったことが,拘束応力である外応力で実験値が整理できなくなった原因と考えられる。 平成2年度は実施工の溶接割れを防止する方法の一つである水素濃度の低下の方法を研究した。低温割れ還止のアルゴリズムを作成する上では,溶接熱サイクルを予測して,溶接施工条件から割れ発生時の水素濃度を予測する必要がある。そこで,会社で一般に使用されている局部予熱施工を対象として,局部予熱条件である板厚,予熱時間,予熱幅,継手形状を入力すると目的の予熱温度になるために必要な局部予熱施工条件が出力されるプログラムを作成し,実験値と比較検討した。その結果現場で十分に使用できるソフトが完成した。次に,溶接施工条件と局部予熱条件を結び付けて,水素濃度の予測に必要な熱因子に結びついた冷却時間を実験と計算で比較検討した。そして,水素濃度に結びついた冷却時間を予測できるソフトを完成し,鉄研割れ試験の結果から得られる熱因子,硬さに結びついた冷却時間を入力することにより,実施工での割れ防止に必要な局部予熱施工条件が出力される低温割れ防止のアルゴリズムを完成した。しかし,初期に予定しいてたインプラント試験結果からの低温割れ防止のアルゴリズムには成功しなかった。今後,相変態と応力の関係を研究する必要がある。
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