研究概要 |
(1)Arthrobacter globiformisの培養とそのイソマルトデキストラナ-ゼの分離、精製法の改良を行い大量製製法を確立した。 (2)本酵素は、デキストランに対してエキソ型に作用してイソマルト-スのみを生成する(αー1,6ー結合の切断)が、プルランに対してはエンド型に作用してイソパノ-スを生成する(αー1,4ー結合の切断)ことを明らかにした。 (3)本酵素によるαー1,6ーおよびαー1,4ーグルコシド結合の分解作用が同一の活性部位でなされるか否かを反応速度的解析を行った。その結果、単一の活性部位によって両結合の分解が触媒されることが明かとなった。 (4)本製造法によるイソマルト-スの製造に際しては、デキストランの種類により必要な酸処理の条件を検討したが、各種デキストランに対し0.2N塩酸、95℃、4時間の処理が適当であることを認めた。 (5)本製造法によるイソマルト-スの大量製造に際しては、安価なデキストランを使用することが望ましいが、デキストランの種類により従来の研究で明らかになったデキストランの処理条件が異なると考えられるので、それらの条件を各種のデキストランについて検討した。その結果、デキストランT2000に関して従来得られた条件(0.2N塩酸、95℃、4時間処理)が他のデキストランにも適用でき、この条件が各種デキストランのαー1,6ーグルコシド結合以外のαー1,2ー、αー1,3ー、およびαー1,4,グルコシド結合の切断に最も適していることを確認した。この条件下で処理後、イソマルトデキストラナ-ゼの反応よりデキストランの分解率は90%以上となり、イソマルト-スの収率は70%以上となった。
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