研究分担者 |
赤沢 治夫 株式会社ニチロ中央研究所, 所長
中村 孝 九州大学, 農学部, 助教授 (10038292)
河内 正通 水産大学校, 製造学科, 教授
羽田野 六男 北海道大学, 水産学部, 教授 (80001600)
鹿山 光 広島大学, 生物生産学部, 教授 (90034446)
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研究概要 |
1)カキむき身の抗酸化剤処理区(BHA,Toc処理区),脱酸素剤処理区,無処理区を-20℃(無処理区の1つは-35℃)に12か月間貯蔵し,その間の脂貭の劣化をPOV,官能検査,脂貭組成,分子種組成などの変化から検討した。脱酸素剤を用いるか,-35℃に貯蔵することにより12か月間良好に保持できることを認めた(小泉・赤沢)。 2)マガキを天然海水を対照として塩素,オゾン処理水,ピチピチ添加海水(PP)およびゼオミックス袋(SP)による鮮度保持効果を細菌数,K値,IMP濃度,パネルテストにより判定した。PPは官能検査,K値において対照より良く,細菌数からはSPが優れていた(鹿山)。 3)マガキを長期貯蔵した際に生ずる不快味の原因は単一の物貭によるものではなく,低級アルデヒドと遊離脂肪酸,さらには微量のオキシ酸とジメチルサルファイトが相補的に作用し合うことにあると推定した。(羽田野)。 4)低温貯蔵中におけるマガキ脂貭の劣化はリン脂貭の加水分解と生成した遊離のポリエン酸の自動酸化により進行することが明らかとなった。-25℃以下の凍結貯蔵と酸化防止剤の添加,気密包装により脂貭劣化に起因する品貭劣化を抑制できると判断した(河内)。 5初年度に工夫したNaBH_4還元法に続き,新たにトリフェニルフォフィン試薬とHPLC法を用いる過酸化脂貭の微量定量法を開発した。本法を用い,冷凍カキむき身表層に起こる煮熟時の褐変が脂貭酸化に起因する油焼けであることを明らかにし,その防止に指針を与えた(中村)。6マガキの新規な加工法として,遠赤外線加熱と超高圧加圧処理を検討した。両法共にカキの風味をよく残していたが,特に超高圧加圧は従来にない新しい食感を示し,応用への可能性を示唆した。また,両法共に冷蔵保存期間の延長が認められた(赤沢)。
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