研究概要 |
本研究は,当初の計画を総て満足させる成果を達成するとともに,余りある成果を得て終了することが出来た。本研究は,哺乳動物の細胞をあらかじめ定めた重力のもとで培養する装置を試作する研究である。本装置は,細胞を培養するための,高湿度(100%),恒温(37°)でしかも5%の炭酸ガスを有する環境を遠心機の中で安定して保つことが出来る環境を作ることを主たる設計思想のもとに研究を開始した。遠心機の内部を改造することは非常に困難であったので,外部に附属するかっこうで,温度制御装置,温度制御装置ならびにガス組成形成,制御装置を作り,遠心装置と結合した。ここまでの製作は容易であったが,遠心機との結合した上,で特定の機能を発するまでに多くのトラブルにみまわれた。特に遠心装置の内部に結露が生じ,培養環境を保てなくなることが多かった。しかしながらこの困難も,遠心装置の内部をテコロンで破壊したり,あるいは温度発生装置の能力をあげるとともに,制御パタ-ンを試行錯誤で考えつつ最適値を求めることによって乗りこえることが可能となった。こうして培養環境はととのえられたものの,遠心力発生装置にも多くのトラブルが生じた。その代表的なものは,加えるべき遠心力が,通常の遠心機の能力をはるかにこえる,低い値の遠心力を生ずることが求められたからである。すなわち,モ-タ-を設計値以下の回転数で,設計値以上の長時間(例えば2週間)連続して撃動させねばないなかった。しかしこれも,モ-タ-の改良,回転制御回路の導入によって解決し,求める培養装置を得ることが出来きた。この遠心培養装置を実際に用いて細胞の培養を行ったところ,十分にその性能を発揮していることが確認出来た。この装置を試作するにあたって得られた様々な知見と,この培養装置のうみだす成果を考えあわせると,本研究はその目的を十二分にあげて,成功哀に終了することとなったこと言える。
|