研究分担者 |
吉川 悦雄 (株)鐘紡, 開発研究所, 主任研究員
向井 鐐三郎 国立予防衛生研究所, 霊長類センター, 主任研究官 (90133040)
山崎 義光 大阪大学, 医学部, 助手 (40201834)
河盛 隆造 大阪大学, 医学部, 講師 (00116021)
佐々木 澄志 (財)食品薬品安全センター, 研究技術員
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1991年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1990年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1989年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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研究概要 |
インシュリン遺伝子を人工皮膚に導入する技術開発のため,次の研究を行った。研究内容は3つに分けられる。ラットのプレプロインシュリンのcDNAをベクタ-に挿入し組み換えインシュリン遺伝子を作製した。この組み変え体をNIH3T3細胞へ形質導入し,この細胞に発現させることに成功した。また,インシュリン遺伝子を導入させた細胞を用いて,人工皮膚を作る時に必要となる人工皮膚基質の開発を行い,新しい型の多孔性ゼラチンスポンジの作製に成功した。この人工皮膚基質の生体適合性試験を行った。以下にそれぞれの研究成果の概要を示す。 1.組み変えインシュリン遺伝子の作製。ラットのプレプロインシュリンのcDNAを次の4つのベクタ-に挿入した。(1)pZipneo SV(X),(2)pSV_2his,(3)pMANーNeo,(4)pMANーNeoーS。これらの組み換えDNA5μgを2.5×10^5個のNIH3T3細胞へChem&Okaymaの方法でtransfectionした。(1)に関しては,インシュリン分泌陽性細胞を得ることに成功した。2日間で15μU/mlの分泌を確認できた。増殖速度は非導入細胞と同じであった。2.新しい人工皮膚基質の開発。ゼラチンを素材とする全く新しい型の多孔性スポンジの開発に成功した。ゼラチン水溶液をグリセロ-ルポリグリシジルエ-テルで架橋し,厚さ2mmのポリメチルメタマクリル板で20分間ゲル化させー70℃で予備凍結した。これを凍結乾燥後110℃で3時間熱処理することにより,上面が1μmのゼラチン薄膜でおおわれた多孔性ゼラチンスポンジ(平均孔径110μm)が得られた。3.人工皮膚基質の生体適合試験。上記ゼラチンスポンジの生体への適合性試験を行った。ヒト線維芽細胞および表皮細胞を用いたin vitro試験によって良好な細胞親和性が確認された。またラット皮下への埋入実験により,良好な組織反応性を認めた。
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