研究概要 |
呼吸器疾患の診断を補助するシステムを作成する目的で,症例を一定様式に整理する症例カードを考案し,1,000余例の呼吸器疾患の症例データべ-スを作成した。ついで,データベースの各項目のうち診断,症状,胸部レントゲン所見をコード化し,その内容をコンピューター上で整理して,所見から診断にいたる過程を検討する材料とした。 検討症例:合計1,029例で,その内訳は以下のとおりである。 1)自験例:基本的な呼吸器疾患と,診断的に興味ある108症例, 2)報告症例:(1)ニューイングランド医学雑誌に掲載のMGH臨床・病理症例検討会の240症例と都内の症例検討会の検討症例681例。 疾患の内容:気道・肺疾患が908例(約88%),胸膜,縦隔などの他疾患が121例で,気道・肺疾患のうち腫瘍性疾患,感染症,間質性肺疾患がそれぞれ,265例,232例,181例であった。 画像所見:斑状影,浸潤影,結節影,および網顆粒状陰影が主な所見で,それぞれ19%,14%,24%,17%を占めた。 所見と診断の関係:画像と診断を中心に検討した。多くの症例は常識的な相関関係にあるが,約5%がこの枠組みに入らない症例であった。 診断システム:これらの非典型的な症例の診断を含めた診断システムについては,現在,研究グループを拡大し,(1)コードの拡充,(2)検討症例の増加,(3)所見と診断の関係の分析を行い,診断の推論過程をプログラム化している。 症例呈示システム:コンピューテッドラジオグラフィその他を用いた症例呈示システムを開発し,症例内容を収録して学生教育に利用した。 本システムは高画質のレントゲン像,病理像を含めた諸情報を提供するもので,多数の症例についてその内容を収録することにより,学生教育のみならず診療を補助するシステムとして利用することができる。
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