研究概要 |
細胞はヒト神経芽腫細胞株KPーNーRTを用いた。ホロ-ファイバ-(HollowーFiber:HF)には、グレ-スジャパン社アミコン,ミニヴィタファイバ-を用いた。HF内に1x10^8個の細胞を注入した。細胞が中空糸へ着床した後より、中空糸内空間(intracapillary space:ICS)は25ml/minの流速で潅流を開始した。24時間後より中空糸外空間(extracapillary space:ECS)は8ml/hrの流速で潅流を開始した。Phosphorusー31nuclear magnetic resonance spectroscopy( ^<31>PーMRS)の測定は潅流条件下で培養環境の恒常性を維持しつつ、積算回数2000で行なった(測定条件:繰返し時間2.0sec,60°パルス幅,81.134MHz)。MRS装置はGE社CSI IIで、20mm径のコイルを装着した自家製プロ-ブを用いた。培養14日目で明瞭なスペクトルが得られ、chemical siftよりピ-クはPME,Pi,PDE,Pcr,γーATP,αーATP,βーATPであった。 HF法を用いて、培養神経芽腫細胞の潅流条件下で ^<31>PーMRSの測定に成功した。得られたスペクトルでは、腫瘍組織におけるin vivo ^<31>PーMRSと同様に、PMEは高くPCrは低い傾向が示された。一般にHF法の欠点として、ICS容積が大きいこと、潅流圧が高いこと、薬剤負荷に時間を要することなどがある。今回良好なスペクトルが得られたことより、HF法によりMRS分析に必要な高密度細胞培養が可能であることが示された。本系ではECSの潅流に成功したことより、迅速な薬剤負荷が可能であることが示された。 本系により培養細胞エネルギ-代謝,細胞膜リン脂質代謝についての検討、および各種生理活性物質によるそれらの変化についての検討が可能であると考えられる。
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