研究分担者 |
長岡 昭二 東レ, 基礎研究所, 主任研究員
宮田 暉夫 高研, バイオサイエンス研究所, 所長
小柳 仁 東京女子医科大学, 教授 (90138884)
渡来 仁 岡山大学, 医学部, 助手 (50175139)
保田 立二 岡山大学, 医学部, 教授 (30092357)
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配分額 *注記 |
9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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研究概要 |
乳幼児期に人工血管植え込みを伴った手術を受けると,その人工血管は患児の成長に合せて成長し,大人になった時にその成長が止まるという「成長できる人工血管」を作製し,その基礎実験から成長のメカニズムを理論的に解析した。次にその成果をもとに新しい型の「成長できる人工血管」を設計作成し,動物実験で設計通りの成長とその停止を確認した。そしてさらに,長期例における人工血管壁の変化と人工血管としての安全性の検討を行なった。人工血管としてはその素材にヒト大伏在静脈を用い,これを浸透圧および超音波にて内在する細胞を破壊したあと,親水性架橋剤によって固定処理した。この時の架橋率を変化させることによって人工血管の成長をコントロ-ルした。次に人工血管の成長停止の目的で外側に超極細ポリエステル繊維製メッシュ管を覆った。これは大伏在静脈より太いものであり,成長しきった時点での希望する内径をもつものである。このようにして植え込むと,大伏在静脈部分が徐々に劣化して膨らみ成長する。そしてポリエステル管内側に達して成長が停止する。超極細ポリエステル繊維は生体親和性に優れており,生体内で安全した血管壁の骨組みとして役立ち、劣化しないことから永久的に人工血管の太さを維待できる。これをメッシュ構造として用いたことは乳幼児期の患者に生じがちな石灰化を,メッシュ間隙を通る自家組織の代謝経路の確保に役立つことで予防したものである,今年度は長期例の動物実験の観察およびその形態学的解析に重点を置いた。その結果,4年間経過例で,植え込み時の内径4mmから1.2cmへと成長し,その後は成長しきった状態で内腔の径を維持していること,および590日経過例において,石灰化などの変性は全く生じていないこと等の予期した成果が得られており,これらから,長期間植え込み時における「成長できる人工血管」の安全性の確認ができた。
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