研究分担者 |
青柳 傑 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40134704)
大野 喜久郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50014238)
露無 松平 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50014345)
加藤 大典 電子技術総合研究所, 光技術部, 主任 研究官
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研究概要 |
本試験研究の研究期間において,In vitroおよびin vivoラットC_6 glioma移植腫瘍モデルで,また臨床症例でアルゴンレ-ザ-波長514.5nm緑色光による光化学療法の有効性と限界を検討した。 In vitroにおける研究において,光化学療法の細胞傷害の機構および腫瘍細胞に対する選択的効果について検討し,以下の結論を得た。(1)HpDの細胞内取り込みと生細胞に対する光照射の観察および透過電顕による観察から,光化学療法の主作用部位は細胞質である可能性が示唆された。(2)機能細胞との比較では,腫瘍細胞がより光照射に対し感受性が高いと考えられたが選択的とは言えず,機能細胞にもHpDの取り込みが確認された。(3)正常の血管壁細胞の光照射に対する感受性は,他の機能細胞同様に腫瘍細胞より低く,腫瘍に対する光化学療法の血流障害は腫瘍血管の特異性によると考えられた。In vivo移植腫瘍モデルを用いた研究において,脳および皮下腫瘍のmicroangiogramと光顕による検索から以下の結論を得た。(1)HpD投与アルゴンレ-ザ-波長514.5nm光照射により,照射部位に一致して同時に腫瘍血管の血流障害とその部の殺細胞効果を認め,光化学療法の効果発現には腫瘍細胞に対する作用と栄養血管に対する作用の両者が初めから関与しているものと推定された。 臨床症例6例の検討では,術中摘出標本の検索では光化学療法の腫瘍細胞および血管への効果が推定されたものの,再発までの期間や生存期間の観点からは有意な効果が認められたとは言い難かった。症例数が少なく現時点で評価することは因難であり,照射装置の改良や手技と方法の改善,光感受性物質の開発などと共に,臨床症例での検討の集積が必要と考えられる。
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