研究概要 |
本申請研究は,骨・歯での化骨分化系におけるリン酸基の動態の究明,及び正常細胞・癌化細胞広く作動しているタンパク質のリン酸化・脱リン酸化サイクルによる増殖節系の究明で必然的に要求される,タンパク質レベルでのリン酸基の変動を追跡する自動化微量迅速測定装置を開発する目的で,平成元年度と2年度にわたって行われた.本装置は,申請者等が開発してきていた全自動型微量ストップフロ-・フロ-インジェクション装置(K.Takahashi et al.,(1989)Analytica Chimica Acta 220,13ー21)を二台連結した形になっており,さらに試料注入部にインテリジェントなオ-トサンプラを採用すると同時にデ-タ収集・解析も含めて完全に自動化されている.通常,キナ-ゼ・ホスファタ-ゼによるタンパク質レベルでのリン酸化量・脱リン酸化量の定量的な変化を,対応して変動する遊離のリン酸濃度を色素(マラカイトグリ-ン)の色調変化に,或はそれらの酵素系と共役する診素系の使用によるATP・ADPの変動をNADHの吸光度変化に,置き換えることによって分光的に測定できるようになっている.そのような分光的な測定が不可能な系において[ ^<32>Pー]ラベルが要求されるときには,ミリポアフィルタ-濾過を用いたミリ秒オ-ダ-の瞬時反応停止装置としての転用可能な形にもなっている.本装置の測定セルの容量(29.4μl)から,例えば3mlづつの試料液と反応液を用いて,理論的には,約100回の連続測定が一応可能であるが,デ-タの再現性の検討に要する分などを別としても,少なくともその半分の50回の測定は有効デ-タをもたらす.また,測定に要する時間は,用いる反応系の反応時間或は一回の測定ごとに行われる流路系の洗浄に要す時間にもよるが,アルカリホスタファ-ゼによるリン酸エステルの分解反応のような場合には,一サイクルが4秒以上の任意の時間間隔で連続測定が可能である.
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