研究概要 |
ウィルス性急性呼吸器疾患の病原体は多岐にわたるが総じてRNA型に属するウィルスである。従来は予防としてワクチンが使用されていたが1)流行の予測が困難であること、2)多数くの血清型を示す場合に天々に対応したワクチンをつくるのは困難であった。本研究ではプリンヌクレオチド生合成経路の中で重要な位置を示るイノシン酸デヒドロゲナ-ゼを標的酵素と考え効果的な抗RNAウィルス薬の創製を目指すものである。 昨年度にひき続き5ーアミノイミダゾ-ルー4ーカルボキサミド(AICAR)より出発し種々の5位置換体、特に5ービニル語導体を合成した。更にそれらを原料にして5ーカルボキサミド部分と閉環し種々のイミダゾアゼピンヌクレオシドを合成した。 上記の一連の化合物について昨年に引き続きヘルペスウィルス類やVaccinia,Vesicular stomatitis,Respiratory syncytial,Parainflnenza type3,Measles,subacute selerosing panecephalitis,Sindbis,Semliki forest,Influenza A,B ウィルスについてin vitroのアッセイを行った。その中で最も強力に抗ウィルス活性を示した化合物は、昨年度報告した5ーエチニルー1ーβーDーリボフラノシルイミダゾ-ルー4ーカルボキサシド(EICAR)であり、Vaccinia,Measles,SSPE,Influenza A,Bに対して、現在最も強い抗RNAウィルス活性を持っているとされている3ーデアザアリステロマイシンや臨床的に使用されているリバビリンより数倍から数十倍強い活性を示すことが明らかになった。In vivo試験でも、マウスのvaccinia tail lesionテストでリバビリンより効力が優れていることが明らかになり、今後毒性の検討および作用機作の解明が重要な課題である。
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