研究概要 |
身体の筋力を維持・向上させる3条件は,筋肉への負荷の大きさ,負荷時間と頻度でこれらが適切でないと効果が少ないことが分っている.従って,筋肉への負荷の大きさを計算し被験者へ提示することが可能となれば筋力トレ-ニングを効果的に行える.しかし,筋力(筋張力)は生体内であるため直接測定できないが,本研究の方法によれば間接的であるが推定できる. 本研究の目的は,抗重力筋群の一つである,下肢筋(大腿四頭筋,腓腹筋等)への等尺性負荷を加えるために膝を届曲させた立位姿勢における下肢筋力の計算方法の検討とその結果を被験者へ即時表示するシステムの検討・開発である.平成元年度はシステムリ開発と実用化させるに必要と考えられる基礎実験(1)を,平成2年度は下記の(2)(3)について主に行った. (1)力学モデルによる大腿五頭筋力等の計算方法の検討 立位姿勢時の大腿四頭筋等の筋力F(γ,θ_1,θ_2)の計算を床反力中心位置(γ),足関節角度(θ_1)と膝関節角度(θ_2)を正確に計測し,2次元矢状面の力学モデルを用いて計算する方法を検討した.システムの開発と並行して,力学モデルによる筋力の計算結果と,被験者の膝関節角度などを種々変化させて各筋の表面筋電図を計測し,これらを比較し,計算方法の妥当性の検討を行なつた結果,モデルの妥当性を確認できた. (2)立位姿勢における抗重力筋力の即時表示システムの開発 次ぎに,計算筋力を被験者に即時に呈示するシステムをOCー9801で開発した.すなわち,立位姿勢時の床反力中心位置を多次元フォ-スプレ-ト貞,膝関節と足関節角度等を小型フレキシブル角度計で計測し,これらのデ-タを基に筋力をPCー9801で計算し,それらの筋力の大きさ被験者に即時表示できるシステムを構築した. (3)本システムの開発のより,重心と関節角度等を基に,立位姿勢時の筋力を矢状面の2次元力学モデルによって計算し,筋力レベルを被験者に呈示できることが可能となった.その結果,被験者はどのような姿勢の場合,筋力がどの程度かを即時に知ることができ,等尺性筋力トレ-ニングにおける最適な立位姿勢を体験することが可能になった。
|