研究概要 |
本研究計画の目的は、パッチクランプ下において、パッチ膜形状,単一チャネル電流,パッチ膜容量,膜電位,電極内圧を同時に計測できる超高倍率マルチ計測顕微鏡システムを開発することである。このシステムは超高倍率微分干渉ビデオ顕微鏡、高速圧力発生器、ドリフトフリ-マニピュレ-タ,パッチクランプ増巾器、位相ロック増巾器そして画像取り込みボ-ドとA/D,D/A変換器を備えたコンピュ-タから成る。以下に今回達成された各ユニットの性能を紹介する。 1,顕微鏡:市販倒立顕微鏡の光源とコンデンサを改造し,ビデオシステムと組合わせて最高15nm/画素の分解能でパッチ膜像が把えられた。 2,圧刺激装置:ボイスコイル駆動の油圧装置とサ-ボ制御により,立上り時間2ミリ秒,振幅範囲±200mmHgの高速圧力クランプが可能になった。 3,マニピュレ-タ:モ-タ駆動スライダと、パルス巾,パル高変調サ-ボ制御を組合わせて,0・1μm以下の制御精度,0・2μm15分の安定性が達成された。 4,電流,容量測定:パッチクランプ増幅器,位相ロック増幅器とロ-パスフィルタ-を組み合わせて,電流(0・1pA)と容量(0・1fF)の同時測定が可能になった。 5,画像処理:コンピュ-タに画像取り込みボ-ドとタイムコ-ドデコ-ダ(自作)を組み込み任意のフレ-ムを任意の間隔で収集可能にした。 6,電気信号処理:コンピュ-タに多チャンネルA/D,D/Aコンバ-タを装着し,画像のタイムコ-ドと各電気信号を同時に収集することにより画像ー電気信号間の同期を達成した。 このシステムを機械受容チャネルに応用し,世界で始めて,このチャネルの定量的な張力一応答関係を得ることに成功した。
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