研究概要 |
本研究は,補助人工心臓駆動下の循環系に対する動特性解析・同定システム,適応制御系設計支援システム,および制御・監視用エキスパ-トシステムを,制御工学および知識工学的手法により開発し,さらにそれらを有機的に結合することによって,医師,人工心臓駆動系および患者のそれぞれの間に,優れたマン・マシン・インタ-フェイスを開発することを目的とするものである. 本研究の主たる成果は次の5つである. 1)補助人工心臓適応制御系の設計と評価を行うための循環系シミュレ-タの開発 2)計測および解析機能を有する補助人工心臓適応制御システムの開発 3)補助人工心臓の最適動作点適応制系のアルゴリズム開発とその評価 4)補助人工心臓着時循環系に対する血行動態推定監視システムの開発 5)自律神経系情報に基づく補助人工心臓の至適制御に関する基礎的研究 以上のうち,本研究の中心的な成果は,2)および3)に関係する補助人工心臓の流量制御に対する最適動作点適応制御系の開発である.この制御系は,血栓・溶血を防止し,駆動に要するエネルギ-を最小化するという意味で最も最適であると思われる駆動パタ-ンを常に維持することができる.このような機能は,従来の制御系では実現されていなかった本研究独自の成果である.本制御システムを臨床に応用するためには,頑健性や安全性の確認を行うとともに,本制御系の上位に監視用エキスパ-ト・システムを構築することが必要であると思われる.
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