研究概要 |
本研究では,コロナ放電によって生成した負イオンのアノ-ドでの沈着を利用する気体精製装置と負イオンのアノ-ドからSweep Outを利用する精製装置を試作した.試作した装置を用いて硫黄化合物,ヨウ素,酸素の除去試験を実施したところ,得られた知見は次の通りである. 1.負イオンの沈着を利用した気体精製装置 硫化水素,硫化メチル,メチルメルカプタン,二酸化硫黄,硫化カルボニル,二硫化炭素は負イオンの沈着を利用したコロナ放電反応器によって除去可能であり,本研究で提案したシミュレ-ションモデルによって除去率に及ぼす反応器入口流量,放電電流,処理流量の影響をすべて説明できる.酸素が共存すれば,硫黄化合物の除去率は概ね向上し,反応副生成物が生じるが放電電流を高くすれば無視できることがわかった.また,電子プロ-ブマイクロアナリシスによる元素分析の結果,使用済みアノ-ド表面に沈着した硫黄の存在が確認された. 2.負イオンのSweep Outを利用した気体精製装置 酸素やヨウ素を負イオンの沈着を利用して除去する場合,負イオンの一部がアノ-ド上で沈着するか,沈着物が再脱離する問題点がある.負イオンのSweep Outを利用した気体精製装置を用いれば,このような気体についても除去可能であることがわかった.本研究で提案したシミュレ-ションモデルによって酸素とヨウ素の除去率を説明でき,反応器体積一定のもとでは反応器の半径を大きくすることによって除去率の向上が期待できることがわかった.また,入口濃度,処理流量,除去対象成分の電子付着反応速度定数,アノ-ド上への負イオンの沈着確率のバランスによって最適な操作条件が存売する知見が得られた.
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