研究課題/領域番号 |
01F00080
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
薬師 久弥 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授
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研究分担者 |
WOJCIECHOWSKI Roman 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 外国人特別研究員
WOJCIECOWSKI R. P.
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 電荷整列 / 電荷の局在化 / 金属・絶縁体相転移 / 高圧ラマン分光法 / α-(BEDT-TTF)_2I_3 / ウィグナー格子 / 分子導体 |
研究概要 |
遍歴的な電荷が相転移に伴って局在化して電荷分布の濃淡を形成する現象(電荷整列)が一群の分子導体で発見され注目されている。この現象は遍歴性と局在性の境界領域にある分子導体に普遍的に存在する現象であるとの視点から系統的な研究を進めている。α-(BEDT-TTF)_2I_3の金属・絶縁体転移は1984年に発見され、その後多くの研究が行われてきたが、大きな構造変化を伴わない電子的な相転移としてその起源は長い間謎に包まれていた。1995年に発表された電荷整列模型が大きな手がかりを与え、NMRや精密X線回折などこの理論を裏付ける実験がなされてきたが、決定的な実証に至っていない。この研究では、まず^<13>Cで中央のC=C結合を置換したα-(BEDT-TTF)_2I_3について電荷に敏感な二つの振動モードの帰属を行い、次にα-(BEDT-TTF)_2I_3のラマンスペクトルが低温・高圧力下でどのように変化してゆくかを精密に調べて電荷整列模型を実証した。この実験で得られた主な結論を以下に記す。(1)高温の金属相においても電荷分布の僅かな濃淡が見出されたが、これはバンド模型で説明できる程度である。(2)相転移以下では電荷分布の濃淡が増大すると共に単位格子中の対称心が失われる。そして、局在化した電荷は分子積層方向と垂直な方向に縞状に配列する。(3)電荷が縞状に整列した状態に20Kで圧力を加えると、電荷分布の濃淡が徐々に抑えられ、やがては整列していた電荷の格子(ウィグナー格子)が1.5GPaで急激に融解する。以上の結果は相転移以下でバンド模型が破れることを意味し、電荷の局在化が相転移の本質であるとする電荷整列模型を強く実証している。以上の結果をPhys.Rev.Bを含む国際誌に3報発表中である。
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