研究課題/領域番号 |
01F00091
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 潤一 京都大学, 工学研究科, 教授
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研究分担者 |
GOVINDARAJULU Babu 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
GOVINDARAJULU B.
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 電子移動 / 電子補助基 / 酸化還元電位 / 有機スズ化合物 / 絶対配置 / 電極反応 / 電子移動反応 / 酸化還元反応 / α-シリルエーテル / カチオンプール法 / 立体選択性 |
研究概要 |
最近われわれは、電子移動反応の制御の新しい手法として「電子補助基」を提案している。電子補助基は、基質に導入することにより電子移動反応を制御するとともに後続化学反応も制御する補助基である。基質内に電子補助基を複数導入し、その酸化還元電位の違いを利用して選択的な電位移動反応を逐次的に行い、多段階分子変換を選択的かつ効率的に行うことができることが特徴である。この手法はコンビナトリアル的に用いることにより機能性物質の探索にも有効であると考えられる。本研究は電子補助基を用いた電子移動反応制御の手法をさらに発展させることを目指して研究を行った。とくに電子補助基としてトリブチルスズ基をもつオキサゾリジノン誘導体の酸化の立体選択性について焦点をあて、研究を実施した。 まず電子補助基としてトリブチルスズ基で置換したフェニル基をもりオキサゾリジノン誘導体を合成を行った。ついで、得られた化合物に対して電極反応を利用して酸化的な電子移動反応を行った。炭素-スズ結合が切断をうけスズ上のブチル基が炭素上に導入された生成物が高い立体選択性で得られるという予想外の結果を得た。しかも、興味深いことに、基質のもう一方のジアステレオマーから出発しても同じ立体配置をもつ生成物が得られることも明らかにした。また、オキサゾリジノン部分を取り除いたアミンに誘導することにより、その絶対配置をRと決定した。 これらのことから、本反応は酸化的なC-Sn結合により生成したN-アシリイミニウムイオンに対して、脱離したトリブチルスズ基のブチル基が、オキサゾリジノン環のフェニル基側の面から求核攻撃したものと推定される。しかし、詳細な機構解明には今後さらに実験を行う必要がある。 本反応は、反応形式においても、また、立体選択性においても、今までに例のない興味深い反応であり、この分野の研究に新しい視点を開く成果といえる。
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