研究概要 |
計画に基づき、シアノバクテリアの概日時計を解析し、以下のような成果を得た。1)KaiC蛋白質のリン酸化がKaiA蛋白質により大きく促進されることを明らかにし、この2つの蛋白質が協同してkaiBCの発現を促進していることを示唆した(PNAS,2002)。KaiC蛋白質の主要なリン酸化部位を見出し,質量分析による残基の決定作業も進展している。2)KaiC蛋白質の分布をゲル濾過法で解析し、KaiCが夜間に細胞内で大きな複合体を形成していることを明らかにした(J. Biol. Chem,2003)。3)KaiBはKaiAに拮抗的にKaiCを脱リン酸化を促進することを明らかにした。また,KaiBの細胞内分布パターンに顕著な概日リズムを見出し,3つのKai蛋白質の協働を示唆した(EMBO J印刷中)4)KaiC蛋白質によるゲノム全域にわたる遺伝子発現の抑制を示し、一方、大腸菌由来のプロモーターの制御によるkaiBC発現フィードバックにより概日振動を発生させることが出来た。この2つの成果はシアノバクテリアのこれまでのモデルに大きな変更をもたらすものである(投稿準備中)。5)細胞内の時計蛋白質の分布を調べ、KaiC蛋白質は膜画分と核様体に多く存在することを明らかにし,さらにKaiCのDNA結合能についても詳細な生化学データが蓄積しつつある。
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