研究概要 |
2001年11月から2002年11月までの京都大学花山天文台滞在中、以下の研究を行った。 1.SOHO衛星の極紫外線望遠鏡の観測により、コロナ質量放出(CME)に伴う波動現象(EIT波)が発見されており、その発生メカニズムは大きな謎であった。我々はCMEの数値シミュレーションから、EIT波はCMEの上昇に伴って周囲の磁力線が次々に開いた結果であることを示した。(The Astrophysical Journal 2002,572,L99) 2.EIT波の波面は広がって見えるという特性を説明するために、我々はEIT波の源となる擾乱がコロナ中を連続的に伝播し、太陽面の有限の大きさを持った領域に同時に到着するためであるという理論を提唱した。論文は2002年に(Proceedings of the 8th Asian-Pacific Regional Meeting,2002,p421) 3.シミュレーション結果に基づいて輻射輸達方程式を解き、水Hα線のプロファイルを計算した。輻射強度は衝撃波のマッハ数に対して指数関数的に増大すること、また大気モデルに強く依存し、プリフレア大気モデルでは大きく、VAL-C大気モデルでは非常に弱いことを示した。論文は現在準備中。 4.磁気再結合流入流が初めて観測されたとされる1998年3月18日のフレアを再解析し、流入流がとして見える運動がX点の上昇によるみかけの運動である可能性を指摘した。論文は現在執筆中。 5.日本の次期太陽観測衛星Solar-Bにの極紫外線分光装置(EIS)で成果をあげるための予備的な研究として、磁気リコネクションに伴う流れを検出するのに適した輝線の選択を行った。論文は現在準備中。
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