様々な燃料による燃焼プロセスにおける微量成分の生成機構解明とその制御技術に関する研究は、近年、国内外を通じて精力的に研究が遂行されており、本研究では、以下のような研究内容を遂行した。その主たる内容は、様々な燃焼プロセスにおける微量金属成分を含む微粒子の生成特性解明と炉内における微粒子生成制御技術開発に関するものである。まず、様々な反応条件における各種微量金属成分の化合物状態、微量金属成分の捕捉剤に関するスクリーニングおよび汚泥燃焼場における微量金属成分の化合物状態を、それぞれ化学平衡論に基づいて予測した。その上で、各種微量金属化合物の基礎的な放出特性を実験的に解明するとともに、得られた結果が化学平衡計算の結果と類似していることを示した。また、このようにして得られたスクリーニング結果に基づき、各種微量金属成分を化学吸収できる捕捉剤を実験的に検証し、カオリンおよび石灰石が有効な捕捉剤であることを提案した。最終的に、実際の乾燥下水汚泥燃焼場における微量金属成分を含む微粒子の生成特性を明らかにした上で、これまでに得られた最適な捕捉剤を実際の燃焼場に微量供給し、捕捉効果の検証と捕捉機構について考察した。このような一連の研究で得られた成果は、様々な燃焼プロセスから環境中へ排出されている微量金属成分を含む微粒子を極力抑制するために不可欠な、燃焼場における微粒子の生成特性・機構解明と炉内における制御技術の開発に関し、基礎的観点のみならず実用化へ貢献できる成果であるものと考える。
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