研究課題/領域番号 |
01F00774
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前野 悦輝 京都大学, 国際融合創造センター, 教授
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研究分担者 |
PERRY Robin Stuart 京都大学, 国際融合創造センター, 外国人特別研究員
PERRY R. S.
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | ルテニウム酸化物 / メタ磁性転移 / 量子臨界現象 / Sr_3Ru_2O_7 / 強相関電子系 / 酸化物単結晶育成 / 量子振動 / フェルミ面 |
研究概要 |
高温超伝導や巨大磁気抵抗などの著しい物理現象は、電子同士が強く相互作用する物質(強相関電子系)の特徴である。その電子状態の統一的理解を深めることは、現代の固体物理学における最重要テーマのひとつである。ルテニウム酸化物では、スピン三重項超伝導やモット転移など強相関電子系に特徴的な物理現象が見られる。本研究の目的は,その単結晶の純良化をさらに進め、磁性・輸送特性の精密測定を通して、強相関電子系の酸化物磁性の理解を深めることにある。本研究ではメタ磁性転移が量子臨界現象として扱えるという新視点を提唱し、特にSr_3Ru_2O_7について集中的に研究して以下の成果を収めた。 1.純良単結晶育成の新しい方法の開発 赤外線加熱単結晶炉は酸化物単結晶の育成に広く用いられるが、融解物の蒸気圧が高い場合は、元素欠損等のために純量化が困難になる。本研究では蒸発量を秤量することで育成条件を最適化する系統的な方法を開発した。これをSr_3Ru_2O_7に適用した結果、残留抵抗率が従来の5分の1以下の純良大型単結晶を再現性よく育成できるようになった。 2.メタ磁性量子臨界点近傍での多重1次相転移現象の観測 ルテニウム酸化物Sr_3Ru_2O_7のメタ磁性量子臨界現象の研究を進めた。磁場を擬2次元面に垂直に印加した場合、メタ磁性1次相転移の終点温度が絶対零度に近づき、量子臨界現象が現れる。本研究では30ミリケルビンまでの低温での交流磁化率、磁化、電気抵抗率の測定を行い、純良試料では1ケルビン以下に新たな多重1次相転移が現れることを明らかにした。この1次相転移線で挟まれた領域では、低温での電気抵抗増大などの新奇現象が見られた。 3.メタ磁性転移に伴うフェルミ面の再構成の観測 Sr_3Ru_2O_7単結晶の純良化を進めた結果、磁化率に量子振動が現れるようになり、電子構造(フェルミ面)を決定することができた。そしてメタ磁性量子臨界現象にともなって、フェルミ面の再構築が起こることを明らかにした。
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