配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
平成13年度以来、上記の研究課題のもと、特別研究員奨励費の補助によって遂行した研究は、次の2点に集約される。1.初期バークにみられる美学思想形成の経緯、2.日本におけるバーク思想(とりわけ美学思想)の受容。以下、これらの課題に関して、今年度(最終年度)分の研究実績を中心に、本研究課題の最終報告をおこないたい。 《1.バークにみられる美学思想形成の経緯》 補助金支給の最終年度たる今年度は、2001年のアイルランド(バークの小学校・中学校・高校・大学時代)調査結果、および2002年5月の政界登場前後までのバーク青年期に関するイングランド調査結果(バークのマニュスクリプトの原典資料調査も含む)の精査に基づいて、その研究成果を公表することに尽力した。この成果は、以下2回の国内外での学会および研究会での口頭研究発表、(1)「若きバーク像の再検証-誕生から幼少年期までのアイルランド時代をめぐる伝記的考察から-」、日本イギリス哲学会関西部会第28回例会、平成15年7月5日(於 京大会館)。(2)「画家W・ホガース『美の分析』にみる感覚主義あるいは<悪>の美学-ヴィーナス・蛇・イギリス風景式庭園-」、大阪工業大学第35回研究談話会(大阪工業大学工学部一般教育科主催)、平成15年10月6日(於 大阪工業大学)に顕著に反映されていると思われる。わけても、2003年12月に大阪大学大学院文学研究科に提出した博士学位請求論文「初期バークにおける美学思想の全貌-18世紀ロンドンに渡ったアイリッシュの詩魂-」(単著:400字詰原稿用紙換算で約750枚)は、本補助金による研究成果の総決算たるものであった。なお、この論文はすでに2004年1月下旬に公開審査を通過しており、研究代表者への3月下旬における博士号授与が決まっている。さらにこの博士論文を補完する業績として、学位申請論文提出後すぐにも、論文「W・ホガース優美論にみる感覚主義あるいは<悪>の美学-ヴィーナス・蛇・風景式庭園-」(単著)、甲南大学人間科学研究所編『心の危機と臨床の知』第5号,pp.67-93、平成16年2月20日。ならびに、学会報告「若きバーク像の再検証-誕生から幼少年期までのアイルランド時代をめぐる伝記的考察から-」、日本イギリス哲学会関西部会第28回例会、平成15年7月5日(於 京大会館)、日本イギリス哲学会編『イギリス哲学研究
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』第27号,pp.104-105、平成16年3月25日(刊行予定)が公刊されるに至っていることもここに付言しておきたい。また学位論文の執筆にかかわって、本研究課題のタイトルが示すごとく、ホガースの美学、イギリス風景式庭園論、ピクチャレスク美学といった具合いに、18世紀イギリス美学研究の広がりが、本助成による研究成果の最後に示し得たとも考えている。こうした延長上に、昨年度のドイツ語論考の改訂日本語版論文「G・ジンメルの山岳美学にみる新たな崇高論の可能性-造形芸術との比較から-」(単著)、広島藝術学会編『藝術研究』第16号,pp.29-43、平成15年7月も発表をみた。さらに、山岳にまつわる崇高美学という射程からの継続的な成果として、2004年2月の韓国・ソウルでの第3回東方美学会国際学術大会(The 3rd International Conference of Eastern Aesthetics) "Aesthetics of Geology in Modern Painters : Ruskin reading the Mountain Landscapes",大会テーマ:"Modern Art and Aesthetics",at 韓国芸術総合大学校The Korean University of Arts (KNUA) in Seoul, Korea, Presentation Date : February 23,2004.での口頭研究発表(英語)もおこなうことができた。 《2.日本におけるバーク思想(とりわけ美学思想)の受容》 平成13年度から本年度に至るまで数回にわたる東京周辺(東京大学・日本大学・国会図書館・ラスキン文庫など)、東北大学(漱石文庫・児島喜久雄文庫など)、熊本(熊本大学・旧制五高資料館・大江義塾)における資料収集・調査によって、幕末・明治初頭から戦前におけるバークの受容過程がさらにはっきりしてきた。特に最終本年度たる本年度は、これまで集めた書籍資料の整理・解析を進めつつ、戦前のバーク研究の傾向性を、平泉澄、上田又次の研究書から探った。さらに、バーク受容史の現代的な研究者(中野好之・岸本広司・中川八洋など)の研究成果を整理することもできたと思う。これらは、いまだ不十分ではあるが、先に言及した研究代表者による学位請求論文のなかに少しは反映させたつもりである。 なお、以上2つの研究課題それぞれに即して、上記の研究成果に関しては、今年度もまた、甲南大学、大阪工業大学などにおける研究教育活動(非常勤講師としての講義や研究例会への参加)のなかで公開に努めた。 隠す
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