研究課題/領域番号 |
01J04072
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 大阪大学 (2003) 横浜市立大学 (2001-2002) |
研究代表者 |
菅生 紀之 大阪大学, 大学院・生命機能研究科・特任教員(COE)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | DNA修復 / 神経発生 / DNAポリメラーゼβ / ノックアウトマウス / アポトーシス |
研究概要 |
DNA polymerase β (Polβ)は、塩基除去修復に関与し、短いDNAギャップを埋める活性を持つことが明らかとなっている。また個体においては、精巣や胸腺、脳で活性が高いなどの性質から、これらの臓器での修復・組換えへの関与が示唆されているが不明な点が多い。私は、Polβ欠損マウス(Polβ-/-)を作製し、発生過程の神経系の広範囲において分化した直後の神経細胞で異常に多くの細胞死(アポトーシス)が認められることを明らかにしている。さらに、p53欠損マウスとの二重変異マウスを作製した結果、p53のヘテロ変異(Polβ-/-p53+/-)により細胞死は減少し、ホモ変異(Polβ-/-p53-/-)でほぼ完全に消失していることから、このアポトーシスがp53依存的経路により制御されていることが明かとなった。しかし、予想に反してPolβ-/-で観察される脳構造の異常は、Polβ-/-p53-/-マウスにおいて回復しなかった。このことから、アポトーシスへの誘導を逃れた神経細胞は、その機能が完全には回復できておらず、神経細胞の発生・分化におけるPolβの役割の重要性が明確となった。さらに、p53の活性化はDNA損傷の蓄積が原因であると考えられるので、DNAの単鎖切断部位を認識し活性化することで塩基除去修復やアポトーシスに関与するPoly(ADP-ribose) Polymerase-1 (PARP-1)欠損マウスとの二重変異マウスを作製し、Polβ欠損マウスにおける神経細胞死へのPARP-1の関与を解析した。その結果、ホモ変異(Polβ-/-PARP-1-/-)は、胎生中期で発生異常が認められ致死となった。いっぽう、ヘテロ変異(Polβ-/-PARP-1+/-)では、Polβ-/-でみられる神経細胞死の減少が観察された。したがって、Polβ欠損により起こるアポトーシスに対してPARP-1の発現低下が抑制的に働くことが示唆された。
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