研究課題/領域番号 |
01J05212
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
有友 嘉浩 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 超重元素 / 重イオン融合反応 / 散逸揺動模型 / 融合分裂過程 / 分裂片質量分 / 中性子放出多重度 |
研究概要 |
超重元素合成の実験的研究は活発さを増し、今年度はロシアのドウブナーで115番元素および113番元素の2つの新元素合成に成功した。同じ時期、理化学研究所でも113番元素の合成に取り組んでおり、現在国際間でこのような競争が激化してきている。本研究ではこの領域での反応理論を構築し、実験計画に有用な情報を与えることである。 最終的な目標は超重核の蒸発残留核断面積を求めることであるが、絶対値が数ピコバーンという微小な現象を精度良く扱うには今の理論の枠組みでは不十分であり、モデルの改良や不定なパラメーターの決定が不可欠である。したがって、蒸発残留格段面積を求める際に不可欠な融合断面積を精度良く求めるために融合分裂反応機構の解明に焦点を当て研究を行った。微小な現象も記述できる散逸揺動模型を導入し、原子核の変形空間における形状の時間発展(軌道)を解析をすることで融合分裂過程の解明を試みた。実験では分裂片の質量分布が測定されており、このデータと計算による軌道を比較することで、分裂片が複合核から来ているか否かを判定することが可能である。この手法を用いて融合断面積を詳細に決定した。計算結果から、超重核領域では質量対称分裂のイベントの90パーセント以上は複合核を経由しないでquasi-fission過程から来ていることが分かった。 さらに詳細に解析するには、分裂片の質量分布だけでなく、中性子放出多重度を用いることが有効である。計算における軌道の行程の長さは実験では中性子放出多重度と相関関係がある。すなわち軌道の時間尺度と中性子放出の時間尺度は対応し、このことを使って融合分裂過程の詳細な解析を試みた。 58Ni+208Pbにおいて入射エネルギーが励起エネルギーに換算して180MeVの場合、実験で測定された中性子多重度は4個と8個の周りにそれぞれピークをもつ。計算でもこの二山は再現され、前者はquasi-fission過程から放出された中性子であり、後者は融合分裂過程からのものであることを示すことが出来た。超重核領域の実験でも中性子放出多重度は2山を持つことが測定されており、このような実験データを詳細に再現することが今後の課題である。
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