研究課題/領域番号 |
01J05259
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 絵美子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 有機伝導体 / カチオンラジカル塩 / 磁化率 / 拡張型ジチオレン金属錯体 / 単一成分分子 / TTF型配位子 / 結晶構造 |
研究概要 |
(1)拡張TTF型ジチオレン遷移金属錯体の開発:TTF(Tetrathiafulvalene)型ジチオレン遷移金属錯体に基づく単一成分分子性伝導体は、中心金属を磁性遷移金属で置換することにより、伝導性と磁性の両面から興味深い新たな物性の発現が期待される。磁性遷移金属であるコバルト原子を中心金属として導入した、TTF型ジチオレン遷移金属錯体[Co(chdt)_2]^n(chdt=cyclohexenetetrathiafulvalenedithiolate)を作製し、その構造と物性について検討した。1:1の組成比をもつ^nBu_4N塩の結晶は二分子の[Co(chdt)_2]が重なり、各々の分子のコバルト原子と硫黄原子間で分子間配位結合を持つ特徴的な構造を示す。(^nBu_4N)_2[Co(chdt)_2]_2の静磁化率は室温からCurie-Weiss的な温度依存性(C=2.10 K-emu-mol^<-1>,θ=-7.8K)を示し、この錯体は二量化した構造であるにも拘わらず、比較的大きな磁化を持つことが判った。 (2)有機磁性金属の開発と物性解明:二次元電子系を生み出しやすく、磁気的秩序が起こる極低温まで安定な金属状態を保つことが期待されるBETS[=bis(ethylenedithio)tetraselenafulvalene]を基に、二価の四面体型磁性アニオンを用いて幾つかのBETS塩を作成した。得られた板状結晶(CoCl_4、CoBr_4、MnBr_4塩)について電気抵抗の測定した結果、温度依存性は小さいものの室温から金属的な挙動を示し、低温部で僅かな抵抗上昇を示した。CoCl_4塩の結晶中には電解溶媒として使用したEtOHが含まれ、ドナーとアニオンと溶媒の比は4:1:1であった。この塩はκ型の配列を持ち、バンド計算の結果からは、円筒状のフェルミ面が与えられ、この塩は低温まで安定な二次元金属であることが判った。一方、MnBr_4塩のドナーとアニオンとEtOHの比は4:1:2で、この塩はθ型のドナー配列を有する。この塩の結晶構造は、最近接のドナー層間でドナー配列が90°回転した特異な構造となっている。その結果、バンド計算から得られた細長く歪んだ円筒状のフェルミ面は隣接するドナー層間で90°回転させた形状となり、この塩が等方的な二次元金属であることが判った。これらの塩の磁化率の結果は、アニオンの遷移金属がハイスピン状態を有する常磁性金属であることを示した。
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