研究概要 |
XとYをC上の滑らかな射影的代数多様体とする。もしXとYのderived categoryがtriangulated categoryとして同値であるとき,XとYはD-同値である,という。またX,Yに対しある射影的代数多様体Z,双有理射f : z→x, g : z→Yが存在しf^*k_x〜g^*k_YがみたされるときXとYはK-同値である,という。D-同値とK-同値の関係について,川又雄二郎による次の予想がある。 予想 次は同値(i)XとYは双有理同値であり,かつD-同値。(ii)XとYはK-同値。川又は3次元で(ii)⇒(i)を示した。私は小平次元K(X)=K(Y)=-∞の場合について,この予想の(i)⇒(ii)の反例を与えた。さらに私はK(X)〓0,K(Y)〓0の場合についてはこの予想は正しいと考え,2次元の場合に次を得た。 定理 XとYは2次元とする。もしXとYがD-同値だが同型でないとき(2次元では,K-同値と同型は同じことである)次のいずれかが成り立つ。(i)XとYはK3曲面。(ii)XとYはアーベル曲面。(iii)XとYは極小でK(X)=K(Y)=1(iv)XとYは極小楕円曲面でK(X)=K(Y)=-∞。 この定理からK(X)〓0,K(Y)〓0の仮定の下では,2次元の場合上の予想が正しいことが示せる。また定理から,2次元の同値な多様体では小平次元が不変となることもわかる。以上を踏まえ,私は(1)3次元,K(X)〓0,K(Y)〓0を仮定した上での予想(i)⇒(ii)の解決,(2)3次元D-同値な多様体では小平次元が不変となること,の2つに取り組んでおり、すでにいくつかの部分的な結果を得ている。
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