研究課題/領域番号 |
01J05981
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 ふみ子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2) (00386335)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 狂歌 / 大田南畝 / 摺物 / 戯作 / 点取り / 吉原 / 細見 / 一枚摺 |
研究概要 |
昨年度の調査に続き、日本国内(九州大学文学部富田文庫等)・欧州(大英図書館・大英博物館・ヴィクトリア&アルバート美術館、フランス国立図書館・ギメ美術館等)の調査を終え、近世中後期の江戸狂歌資料(含摺物)の概要が、一定程度、把握できた。これによって、江戸狂歌壇で天明期より愛好された「狂歌角力」と、文化文政期に盛んに行われて返草摺物集・番付など多くの資料が残るゆえに逆にほとんど研究されてこなかった点取り狂歌との連続性を解明し、その発達過程を検証した。(「江戸における点取り狂歌の発達」) 上記の調査によって把握した狂歌資料のうち、吉原関係の狂歌本に着目し、吉原を素材とする狂歌の詠風、吉原細見のパロディの体裁を取る狂歌集の趣向の変遷を研究した。この切り口から狂歌史を眺め、機知による笑いを尊ぶ近世中期から物語的情緒性に傾く後期へという雅俗を横断する近世文学の潮流と平行した詠風の変遷を浮かび上がらせた。同時に、パロディとして片付けられがちな作品にも、もじりの手法に様々な位相の差があることを検証した。とりわけ重要な価値を持つ『狂歌吉原形四季細見』『狂歌よみ人名寄細見記』『狂歌作者細見』の3点は、影印・翻刻による紹介を行った。(『吉原狂歌本三種』) 本年度の調査の最大の成果の一つ『徳和歌後万載集』の出詠募集のチラシを紹介した。当該資料は、当時、狂歌壇の主流では入集料を徴収しなかったこと、同書が書肆の主導で企画されたことの証として貴重である。(「『徳和歌後万載集』出詠募集チラシ」) 大田南畝の漢文「七観」を検討し、一見正規の漢文で書かれた同作が、狂文や酒落本等、俗文芸における文章琢磨の経験に裏付けられていることを明らかにした。雅俗の境を超えて表現を捉える視点を導入することで、今後、江戸狂歌の表現を考察する上で不可欠の布石となるはずである。(「大田南畝「七観」をめぐって-詩文と戯作」)
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