配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
これまでの研究から、脳に存在するロドプシンが生殖腺発達を制御することが考えられた。この仮説を明らかにするために、まずアユの眼球・松果体以外に存在する光受容組織が生殖腺発達の制御に関与することの証明を試みた。その結果,眼球・松果体を摘出しても雌雄共に短日処理群では生殖腺体重比が長日処理群と比較して有意な増加が確認された。生殖腺の発達を制御する性ステロイドの血中量も、雌雄共に日長の短日化により有意に増加した。生殖腺を組織レベルで観察したところ、精巣では短日処理群において精原細胞の盛んな増殖分裂が確認されたのに対し,長日処理群では精原細胞の増殖分裂がほとんど確認できなかった。卵巣では短日処理群において卵の成熟段階が最終成熟まで進行していたのに対し,長日処理群では実験開始時と変わらず,主に周辺仁期の卵が観察された。これらの結果から、アユにおいて眼球・松果体以外の未知の光受容部位が生殖腺発達の制御に関与していることが明らかとなった。 次にアユロドプシンに特異的な抗体を作製し、脳において免疫組織化学を行い、脳内ロドプシンの生殖腺発達制御への関与を調べた。その結果,視索前野のnucleus preopticus magnocellularis, nucleus preopticus parvocellularisにおいて免疫陽性反応が観察された。これらの神経核には生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)に対する免疫陽性反応がアユにおいて確認されており,ロドプシンの性成熟制御への関与が示唆された。興味深いことに、嗅球、終脳、間脳、中脳、さらに延髄における複数の神経核においてもロドプシンに対する免疫陽性反応が見られ、脳内ロドプシンは生殖腺の発達制御以外に活動リズムや体色変化、生物時計の同調などの機能の制御にも関与していることが示唆された。
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