配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
1.遠隔通信対話実験:昨年度に引き続き,携帯電話の普及による"ながら電話"の問題を取り上げた.本研究では,主たる電話対話課題として対象指示コミュニケーション課題を用い,さらに注意分割課題として携帯メール課題を設定した.さらに,携帯メール課題による注意分割状況を対話者間で共有しているか否かを対話条件として設定し,併せて検討を行った.大学生24ペアを分析した結果,対話条件に応じた対話の主観的側面,発話の量/内容,記憶成績の変化から,負荷の高い注意分割課題によって主たる対話の認知資源が低減している場合でも,対話者はその状況の共有/非共有に応じて柔軟に相互作用過程を変化させ,協働的に理解を達成していたことが明らかになった.本研究は,2004年認知科学会第21回大会にて発表予定である. 2.医療現場におけるコミュニケーションの調査:様々な人やモノが交錯し本来リスクをともなう医療現場を対象に,リスク情報の共有や意図伝達エラー等の実態を捉えることを目的として,21名の看護師にICレコーダ装着を依頼し,看護業務中の対話データの収集・分析を試みた.のべ約100時間の書起しデータから,看護師は同時並行的に様々な相手と対話しており,相手の職務技能の推定から効果的な情報共有を行った事例や,対話が成立しているようでいながら発話内リスクが低く評価され,共有が不確実なままに対話を終えた事例等が見いだされた.本研究は,2004年認知科学会第21回大会にて発表予定である. 3.リスク共有コミュニケーション実験:リスク共有コミュニケーションに関する実験心理学的なアプローチとして,対象指示コミュニケーション課題を用いて,リスクの有無や情報の共有程度が異なる対話条件を設定し,そこでの課題成績ならびに言語使用の様態を比較する実験を実施した.大学生48ペアを分析した結果,対話条件に応じた指示発話の質的変化が顕著に示されたことから,意図伝達や理解共有における問題は,対話者間の情報の非対称性に強く依存することが明らかになった.本研究は,2004年認知心理学会第2回大会にて発表予定である.
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