研究概要 |
1.プラズマシート境界層の最外部の沿磁力線電流の解析 Geotail衛星の観測データを用いて,プラズマシート境界層の最外部の沿磁力線電流を調べた.Geotail衛星の軌道とプラズマのデータは,かつてISEE1,2衛星で行われた研究と比べてより包括的かつ組織的な調査を可能とする.沿磁力線電流の同定には磁気圏尾に垂直な磁場成分の変動を用いて,電流が平面状であるという仮定のもとで電流強度を計算した.事例研究から,この沿磁力線電流は磁力線再結合領域の地球側では地球向きに流れ,遠尾部側ではさらに遠尾部向きに流れることがわかった.さらに,Geotail衛星がプラズマシート境界層を横断したすべての場合について沿磁力線電流の極性を調べることで,この傾向は一般的なものであることを確認した. 2.巨大データベースに基づく沿磁力線電流系構造の組織的研究 人工衛星などのデータ解析の課題として,観測された時系列データを高速かつ自動で処理することが挙げられる.この視点から,樋口・大谷[2000]の方法をDMSP-F12,13,14,15衛星の磁場データに適用した.これらの衛星はほぼ同時期に観測を行っており,さらに極軌道の地方時が異なるため,同じイベントの多点観測が可能なデータセットを与えている.得られた沿磁力線電流のリストに対し,電流面の境界上にある磁力線沿いの電離層高度での太陽天頂角を計算するとともに,IMP-8衛星により観測された太陽風データを付加し,太陽風との関係を定量的かつ丹念に調べるための準備を整えた.
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