配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
これまでに、受精時に卵表層胞から分泌され、卵膜の蛋白質を変化させるプロテアーゼとしてアルベオリンを同定した。アルベオリンmRNAは卵形成初期の卵母細胞内で発現し、アルベオリン蛋白質は卵黄形成期の初期に合成されることを明らかにした。アルベオリン蛋白質は合成された後、分泌顆粒内に蓄積され、その状態で長い期間保持される。分泌顆粒は卵母細胞の内部で形成され、卵成熟の過程で表層へとトランスロケートされ、受精時の精子刺激によって細胞外へと分泌できるように準備される。つまり、アルベオリンの分泌には、その合成・蓄積とともに、そのトランスロケートの過程も重要である。魚類では、このトランスロケートの過程は、卵成熟誘起ステロイド(MIS)である17α,20β-Dihydroxy-4-pregnen-3-one (17α,20β-DP)によって制御されていると考えられている。これまで、17α,20β-DP受容体は卵細胞膜上にあると考えられてきたが、その実態は、まったく不明であった。最近、シートラウトで膜結合型17α,20β-DP受容体が世界ではじめて同定された。卵成熟誘起ステロイドを解したシグナル伝達は脳神経系でのゲノムを解さない迅速な反応系として近年注目されつつあるが、その経路はまだ解明されていない。われわれは、シートラウトの膜受容体遺伝子配列情報を元に、メダカ卵巣cDNAライブラリーから膜結合型17α,20β-DP受容体のcDNAをクローニングした。今後、この受容体から伝わるシグナルを解析し、卵表層顆粒のトランスロケートの機構を調べる。この系は、ステロイド膜受容体からの分泌シグナル経路のモデルとして有用であると考えている。
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