研究概要 |
1.TEMセルの遮断周波数およびその内部電磁界だけでなく,より一般的に矩形の連結によって得られる領域における線形偏微分作用素の固有値および固有関数を,その領域に適合するように変換したウェーブレットを基底として用いることにより精度の高いシミュレーションができるという汎用型のプログラムを完成し,これを電子情報通信学会和文論文誌Bに発表した.特別研究員採用後この問題取り組んできたが,これについては一応の完成を見たということで終わりにし新たな問題に取りかかることとした. 2.波動方程式とボッホナー-リース作用素の有界性との関係など,私は微分方程式の研究において不等式が本質的な役割をすることに面白味を感じる.ナビエ-ストークス方程式などの解の存在を示すのに用いられるGagliardo-Nirenbergの不等式およびこれと同値なTrudinger-Moserの不等式と,Brezis-Gallouet-Waingerの不等式はソボレフの不等式の臨界ケースの異なる表現と考えられ,Gagliardo-Nirenberg不等式またはTrudinger-Moser不等式からBrezis-Gallouet-Wainger不等式は導けるが,私は反対も成り立つと予想し証明を始めた.またこれらの不等式に現れる定数の最良値が何かは応用上重要だが,有界領域の場合しか知られていないので無限領域の場合に取り組んでいる.
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